ここまで来るのに70年
AIはこのごろ とつぜんできるようになったように見えますね。ところがじつは とても古い話です。そのあいだ人々は何度も「これでできた」と言っては、何度もまちがえました。
どれくらいまちがえたかは、自分で見るのが早いです。下のカードはぜんぶ 本当にあった予想 です。おもてだけを見て、当たったかはずれたかをえらんでみてください。
両方の向きにはずれました
いくつ当てられましたか。ここで見るべきなのは自分の点ではなく はずれた向き です。
三枚は 早くできると 言いました。20年もあれば、夏休み二か月あれば、もうすぐ。
二枚は ぜったいにできないと 言いました。百年はかかる、チェスだけをする機械ではむりだ。
かしこい人たちが 両方の向きにはずれました。そしてはずれるたびに人々ががっかりして、お金も関心もはなれていきました。そんな時期が二度ありました。
では どうしてきゅうにできるようになったのでしょう
ここで多くの人がかんちがいします。だれかがすごい思いつきを新しくしたのだろう、と。
ほとんどはむかしのアイデアです。
これから3部で出会うマッチ箱の学習する機械は 1960年代 のものです
のうの神けいをまねて計算する考えは 1940年代 に出ました。それを本当に機械にしたのが 1950年代 です
何層も重ねたものを 教える やり方も 1980年代 に出ました
では何が変わったのでしょう。二つです。
① 材料がとてつもなくふえました。 人々がインターネットに写真や文をのせはじめました。1980年代には機械に見せるねこの写真が何百枚でしたが、いまは何億枚です。
② 計算が速くなりました。 それも思いがけないものの おかげでです。ゲームの画面を速くえがくためにつくられたグラフィックカードがあるのですが、それがする計算が じつはAIがする計算とほとんど同じだったのです。
ですから こうまとめられます。
| 1980年代 | いま | |
|---|---|---|
| アイデア | ほとんどそろっていました | ほとんどそのままです |
| 材料(データ) | 何百枚 | 何億枚 |
| 計算する力 | 何日もかかる | 数分 |
新しい思いつきではなく 材料と力 が変わったのです。
では その計算が何なのかを見なければ
材料が写真で、計算が速くなったといいますが、いったい機械にとって写真とは何なのでしょう。
2部はそこからはじまります。
このチャプターのよりどころ
- 1 McCulloch & Pitts, "A Logical Calculus of the Ideas Immanent in Nervous Activity", Bulletin of Mathematical Biophysics 5 (1943)
- 3 Turing, "Computing Machinery and Intelligence", Mind 59(236) (1950)
- 5 McCarthy, Minsky, Rochester & Shannon, "A Proposal for the Dartmouth Summer Research Project on Artificial Intelligence" (1955)
- 8 "New Navy Device Learns By Doing", The New York Times (1958-07-08)
- 10 Michie, MENACE (1961) · "Experiments on the Mechanization of Game-Learning", The Computer Journal 6(3) (1963)
- 23 Simon, The New Science of Management Decision (Harper & Row, 1960 · 1965)
- 24 George Johnson, "To Test a Powerful Computer, Play an Ancient Game" (interview with Piet Hut), The New York Times (1997-07-29)
- 25 Moravec, Mind Children (Harvard University Press, 1988)
- 26 Hofstadter, Gödel, Escher, Bach (Basic Books, 1979)
- 29 Rumelhart, Hinton & Williams, "Learning representations by back-propagating errors", Nature 323 (1986)