特ちょうを見つけ出すやり方
左がくずれるのを見ましたか。
あのやり方は字を まるごと 重ねてくらべます。自分が書いた字と手本の絵をかさねて、ずれたピクセルがいくつあるかを数えるのです。ですから すこしかたむけただけでも、すこし大きく書いただけでも、ずれたピクセルがどっとふえます。
人はななめに書いた3も3だと見分けます。3の 形のとくちょう を知っているからです。上がまるくつき出て、真ん中がくびれて、下がまたまるい。こういうものを と呼びます。
ところがコンピューターに 特ちょうをどうやって見つけさせればよいのでしょう。
小さな窓でなでていく
やり方は思いがけず単じゅんです。小さな窓をひとつつくって、写真の上をなでて通らせる のです。この小さな窓を と呼びます。
小さな窓が写真の上を 一ますずつ動きながら通っていきます。
フィルターの中には数が九つ入っています。フィルターがある場所に置かれると、その場所の写真の明るさ九つと、フィルターの数九つを ひとつずつかけて ぜんぶたします。それがその場所の結果です。
かけてたすだけです。ところがフィルターの中の数をどう入れるかによって、この単じゅんな計算が たて線だけを見つけたり、よこ線だけを見つけたり します。
一枚では足りません
フィルターひとつでは線ひとつしか見つけられません。ところが わたしたちが見分けたいのは線ではなく ねこですよね。
だから 何層も重ねます。
はじめの層で見つけた線を集めて、その上にまたフィルターをなでていきます。すると線が集まってできたもようが出てきます。その上にまたなでていくと、もようが集まってできたかたまりが出てきます。
層が重なるほど だんだん大きなものを見分けます。
線を見つけるフィルターは じっさいに1層にあります。自分がつくったものとそっくり同じでなくてもかまいません — していることが同じなら 同じところにいるのです。3層へ行くと目や顔のようなものが見えてきます。
こうして を積み上げると、線 → もよう → かたまり の順に だんだん大きなものを見分けるようになります。
右は字をまるごとくらべません。こまかく特ちょうを見つけて集めます。ですから すこしかたむいても 特ちょうはそのままのこっています。
ところで この数はだれが決めるのでしょう
ここで おかしなことに気づいたかもしれません。
さっき よこ線を見つけるフィルターをつくってみましたね。ところが世の中には見分けなければならないものが何千もあります。ねこの耳、車のタイヤ、字の一画、木の葉の形… それをぜんぶ人がひとつひとつ書き入れられるでしょうか。
できません。そして本物のAIは それを人が書きません。
では だれが決めるのでしょう。次の部でその話をします。
このチャプターのよりどころ
- 15 OCR-A (American Type Founders, 1968) · ANSI X3.17-1981 · ISO 1073-1
- 27 United States Postal Service, 1997 Annual Report, p.43 — the Remote Computer Reader, built on University at Buffalo (CEDAR) handwritten address interpretation
- 28 OCR trade histories on the first commercial installations (Shepard / Intelligent Machines Research Corp. at Reader's Digest, mid-1950s) — decade only; no primary source located
- H1 わたしたちが学習させた重みです。学習に使った字も わたしたちがえがきました
- P2·P3 作者名を書かなくてよい写真です (CC0 · パブリックドメイン · Pexels)
- P3 写真から反のうの地図を取り出すのには 先に学習ずみのニューラルネットを使いました。重みは配りません