音を見るAI
登録した人はだいたい当てるのに、ほかの人はほとんど当てられませんね。
これが音声をみとめることが70年のあいだとけなかった問題です。人によって声がちがうからです。同じ人でも かぜをひけばまた変わります。
ところで機械は そもそも音をどうあつかうのでしょう。
音を絵に変えます
ここで前のチャプターの話がもどってきます。
コンピューターが知っているのは数だけです。ですから音も数に変えなければなりません。ところが音を数に変えると、とても長い数の列がひとつ出てきます。1秒に数が一万をこえます。
その長い列をそのまま見ても 何も見えません。だからこうします。
音をとても短いきれはしに切って
きれはしごとに どの高さの音がどれくらい強いか をはかって
たてに一列ずつ立てて 横につないでいきます
すると絵が出てきます。これを と呼びます。
絵の見方は三つだけ知っていればよいのです。たては音の高さ、よこは時間、明るいほど強い音 です。
同じことばはもようが似ていますね。ところが そっくり同じではありません。人は同じことばを二回そっくり同じには言えないからです。
くちぶえ と はくしゅ も押してみましょう。話し声とはずいぶんちがいます。くちぶえはなめらかな よこ線一本、はくしゅはたて線です。
そうすると 2.2 にもどります
音が絵になると おもしろいことが起こります。
2.2 では写真にフィルターをなでていって特ちょうを見つけましたね。それをこの絵にも まったく同じようにできます。
スペクトログラムの上にフィルターをなでていくと 音の特ちょうが出てきます。層を重ねれば だんだん大きなものを見分けます。写真で 線 → もよう → かたまり だったものが、音では 短い音 → ことばのかけら → ことば になります。
同じやり方です。 材料が変わっただけです。
ここまでが 見て聞くAI
2部が終わりました。写真も音も けっきょく数の表になり、その上をフィルターがなでていき、層が重なれば だんだん大きなものを見分けましたね。
ところが そのフィルターの中の数は だれが決めたのでしょう。2.2 の終わりで先おくりにした問いです。次の部で答えます。
このチャプターのよりどころ
- 4 Davis, Biddulph & Balashek, "Automatic Recognition of Spoken Digits", Journal of the Acoustical Society of America 24(6) (1952)
- 22 IBM ViaVoice user guide — "Enrollment" (reading set sentences to train the recogniser on one voice), 1990s editions
- H12·P5 用意された声はコンピューターがつくったものです。画面にもそう書いてあります
- H12·P5 用意された声で登録して 九こを試した値です。韓国語は登録した人が六回 · べつの人が二回、英語は九回 · 四回、日本語は八回 · 二回、スペイン語は九回 · 四回。英語はことばどうしがずいぶんちがうので 差が開きにくくなります