文をかけらに切る
3部までは 見るAI でした。写真、点、道すじ。
ここからは ことばをあつかうAI に入ります。ところが出だしが少し変です。コンピューターは文字を知らないのですから。
2.1 で見たのと同じ話です。コンピューターは写真も数に変えて見ていましたね。文も同じです。
ただ、文には写真より一段階多いものがあります。先に切らなければ なりません。
なぜ切るのでしょう
「この写真はねこです」をまるごとひとつの数にすることはできません。世界中のすべての文に番号をつけるわけにはいかないからです。
かといって文字ひとつずつに切ると細かすぎます。「写真」を「写」と「真」に分けたら意味が消えてしまいます。
だから その中間 で切ります。よくいっしょに出てくるものはくっつけておき、そうでないものは切りはなします。
このかけらひとつを と呼びます。
日本語のほうが細かくくだけました
同じ意味なのに、かけらの数が二倍以上ちがいますね。
もっと変なのはその形です。英語はかけらごとにことばが見えるのに、日本語のほうは半分より多くが 読めないくず です。
文字ひとつがいくつものかけらにくだけているからです。かけらをひとつだけ取り出しても文字になりません。
ちがいます。規則のほうの問題でした
日本語の文でつくった規則 を押してみましょう。
ひっくり返りましたね。今度は 英語のほうが 文字ひとつずつにちぎれます。
ふたつの規則は まったく同じやり方でつくりました。 ちがうのはひとつだけです — どんな文を読んでつくったか。
| 何でつくったか | 日本語 | 英語 | |
|---|---|---|---|
| ひとつめの規則 | インターネットの英語の文 | 細かくくだける | まるごとくっつく |
| ふたつめの規則 | 4.2 で使うむかし話 | まるごとくっつく | 細かくくだける |
かけらに切る規則は たくさん見たものだけをまるごとくっつけて おきます。あまり見ていないものはくずになります。
そしていま広く使われているAIは、ほとんどが一行めのほうです。英語の文をずっとたくさん読んでつくられたからです。
自分の名前を入れてみましょう
実習にもどって、ひとつめの欄に自分の名前を書いてみてください。規則はふたつとも押してみましょう。
名前はひとつのかけらになりましたか。
この本に出てこない名前なら、日本語でつくった規則も 細かくくだいたはずです。規則は自分がたくさん見たものしか知りません。
かけらが多いと何が悪いのでしょう
AIはかけらひとつごとに計算を一回します。かけらが二倍なら計算も二倍です。
ですから同じことを言っても 言語によって遅く、そして高くつきます。 目には見えにくいちがいですが、積み重なると大きくなります。
切ったら何をするのでしょう
これで文が、番号のついたかけらの列になりました。
次のチャプターでは、このかけらを使ってたったひとつのことだけをします。次にくるかけらを当てること。
それだけをとても上手にさせたら、いまのAIが出てきました。
このチャプターのよりどころ
- 9 ASA X3.4-1963 — American Standard Code for Information Interchange
- 18 The Unicode Standard, Version 1.0 (1991)
- P12 4.2 で使うむかし話で わたしたちが自分でつくったかけらに切る規則です
- P12 言語によってかけらの数がちがうことは 実習がその場で数えて見せてくれます